茶道のお点前で、抹茶を入れておく容器をなつめ(棗)といいますが、「なつめって何?」と思う方も多いでしょう。
また、なつめ自体にも大きさや形、色などで複数の種類に分けられており、その役割や由来も含めて見分けがつくようになると、より抹茶をたてる楽しみを増やせると思います。
一方、抹茶はデリケートなので、なつめに抹茶を入れるときに注意しなければならないこともあります。
ですので、この記事では、なつめの基本的知識や抹茶の入れ方について解説していきたいと思います。
ぜひ、なつめの選び方や扱い方の参考にしてみてください!
抹茶を入れるなつめとは?

なつめとは、茶道で使う茶器の一つです。
なつめに入れる抹茶の種類は決まっていて、薄茶というサラッとした鮮やかな青緑色の抹茶に限定されます。
作られる原料としては、木や竹、象牙から作られているものがほとんどです。
なぜなつめなのか?
なつめ(棗)とは本来、植物のナツメを指します。
お茶を入れる道具の形状がナツメの実に似ていたため、なつめと呼ばれるようになりました。
なつめの種類
なつめは表面の漆塗りが一般的ですが、シンプルな無地から凝った装飾のものまで、実は種類がたくさんあります。
時代とともに色や装飾が多様化してきたためです。
ここでは、大きさと色に分けて、なつめの種類を解説していきます。
大きさ
なつめの大きさと名前については、以下の3種類に分けられます。
- 大なつめ
- 中なつめ
- 小なつめ
そのほかにも、縦長の長なつめ、全体的に平べったい平なつめや円筒状の中次形など、形状によってもたくさんの種類に分けられます。
色
なつめの基本はシンプルな漆塗りですが、時代によって色や装飾が多様化しました。
一部の例として、黒塗と溜塗について解説します。
黒塗(くろぬり)
黒漆が塗られていて、もともと一般的だったもの
本体すべてが無地黒塗のものは、真塗(しんぬり)という
溜塗(ためぬり)
朱色の下地を塗った上から、半透明の透き漆で仕上げられたもの
時間経過により赤みが増すため変化を楽しめる
ほかにも、絵付けや装飾の仕方によって、一閑張(いっかんばり)、蒔絵(まきえ)、沈金(ちんきん)など豪華なデザインのものがあります。
抹茶のなつめへの入れ方

抹茶用の容器だからといって、なつめに抹茶をそのまま入れてはいけません。
パウダー状の細かい抹茶は、すぐにダマになってしまうためです。
その抹茶をそのまま使ってしまうと、口当たりも味もよくないお茶ができあがってしまいます。
そのため、缶や袋の状態で購入した抹茶をなつめに移す際には、まずもう一つ別の容器を用意しておきます。
そして、茶こしを使って別の容器にふるい、ダマをきれいになくします。
それから、静かに茶杓(抹茶をすくう小さいスプーンのようなもの)ですくい、少しずつなつめに入れていくようにしましょう。
なつめを手入れする際は、水洗いしてはいけない
使い終えたなつめは手入れが必要ですが、決して水洗いをしてはなりません。
なつめは主に木や竹など、湿気に弱いものからできています。
そのため、抹茶の風味が悪くなったり装飾が傷ついたりしてしまうだけでなく、カビの原因にもなり、最悪、なつめが割れてしまうこともあります。
羽ぼうきなどで抹茶を払ったら、乾いた柔らかい布で丁寧に拭き上げましょう。
抹茶を入れる容器のなつめは奥が深い!
なつめの基本的な知識と抹茶の入れ方をお伝えしました。
なつめは形状や大きさ、素材や色、柄などにより多種多様で、扱いにも気を付けなければなりませんが、基本的な知識を覚えておけばすぐに使いこなすことができます。
ぜひ楽しみながら、あなたの素敵ななつめ選びの参考にしてみてくださいね!
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